NEW TRADITIONAL新商品開発レポート〜因州和紙ができるまでを見学しました

2022年9月20日火曜日

NEW TRADITIONAL レポート

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9月11日(日)、NEW TRADITIONAL展in鳥取で「光の仏像」を因州和紙で制作してくださった中原商店のある鳥取市青谷町を訪ね、因州和紙(いんしゅうわし)作りについて見学しました。


まず訪れたのは、あおや和紙工房
因州和紙は鳥取県東部(青谷町と佐治村)特産の和紙で、特に書道や書画・水墨画に用いる画仙紙(因州画仙紙)の生産量は日本全国の6 - 7割を占めます。
あおや和紙工房の展示室では昔から続く因州和紙の製法や和紙作りに使われた道具などを見学しました。



また、原料となるコウゾやミツマタが敷地内に栽培されており、中原さんに葉の形や茎の色の違いから種類の見分け方を教わりました。
コウゾは春に苗を植え、夏には木の芽を丁寧に摘み取り(まっすぐで加工しやすい良質な原料にするため)、晩秋の頃に大きく成長した木の幹を収穫します。「昔から和紙作りは農作業ができなくなる冬の作業として、地元の人たちの産業として発展してきたんです。」と中原さん。しかし、青谷町で最盛期に1300を数えた生産業者も現在は20軒ほどになったとのこと。伝統工芸を守っていくためには材料となるコウゾを地元で生産していくことも課題だと教えて頂きました。




次に、中原商店さんの和紙工房へ。
中原商店では和紙の原料となる木を育て、刈り取るところから自分たちで手掛けておられます。原料となる木の表皮を時間をかけて煮出し、冷たい水にさらして手作業で繊維の中からチリを取り除いていく。使い手の高いこだわりのある和紙に対しては原料となる木から育て、刈り取るところから手掛けるものもあります。
中原商店の和紙工房の裏手には青谷の清流を引水して作られた貯水池がありました。和紙を漉くという工程の前にこんなにも大変な作業をされているとは、本当に驚きでした。


最後に中原さんにこの仕事に就いたきっかけについて伺ってみました。幼い頃から両親の和紙作りの仕事を見て育ち、遊び場といえば和紙工房だった中原さんにとって、和紙作りを継承していくことは自然なことだったそう。けれども、中原さんの因州和紙作りは、試行錯誤の連続だったそうです。効率化のシステムを考案したり、和紙の新しい可能性を追求した商品づくりを行ったりと、常に技術の向上を怠らない中原さんの所には、より良い和紙を求めるお客様からの依頼が絶えません。新しい試みに柔軟に対応していくことが職人としての喜びにもつながると話す中原さんは、「伝統と伝承は違います。伝承は昔ながらのやり方をそのままに伝えていくこと。伝統とは、伝承してきた技術を守りながら、新しい挑戦をすることで技術を受け継いでいくことです。」と教えてくださいました。

今年度は、中原商店さんのご協力をいただき、からふるのアート作品を因州和紙の技法で表現する新商品を製作中です。伝統を守り続けることへの誇りと、地元の伝統工芸を地域で支え後世へ残したいという中原さんの熱意にふれ、からふるの新商品づくりにも気合が入ります。新商品の今後の進捗にも、ご期待ください(^^)/

NEW TRADITIONAL展in鳥取「和紙という銀河から、届く光」


「NEW TRADITIONAL」は、障害のある人とともに、伝統工芸をとおして新しいものづくりのありかたや、それらが息づく生活文化を提案するプロジェクトです。ものをとおしてつくり手、つかい手、つたえ手が垣根をこえて交流し、語りあう場をつくります。
今回は因幡国を舞台に、地元の障害のある人たちと因州和紙(いんしゅうわし)の可能性をひろげる実験に取り組みました。その様子を展覧会とトーク、ワークショップで紹介しました。
この取り組みをぜひご覧ください。

これまでの取り組みの様子はこちらのページから!

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